韓国にリ・ゾンリョンという人物がいました。
1960年生まれの彼は、事業が失敗して2000年に倒産してしまい、3億5000万ウォン(ざっと3500万円くらい)の借金だけが残されました。
40歳にして失職してしまった彼には、返済不可能な金額でした。
ゾンリョンは再起を諦めて、1年間飲み歩き廃人のような日々を過ごしたが、2001年に一念発起し、借金を返済するためのアルバイトを始めました。
今さら就職はできなかったから、7個のアルバイトを掛け持ちして、一生懸命にお金を稼ぎました。
1日に2時間ほどしか睡眠をとらず、働き続けると1年で500万円を稼ぐことができました。
そんな生活を続け、2008年10月、彼はついにアルバイトだけで借金を全額返済したのです。
勤勉な彼の生き方は話題となり、テレビ番組にも出演し「アルバイト王」というあだ名がつきました。
出版社からもオファーが届き『3億5000万ウォンの戦争』という本まで執筆しました。
最悪の状況でも一生懸命に生きたゾンリョンだが、思わぬ結末が待っていました。
過労の影響もあって2012年に大腸がんにかかり、2年後には54歳で帰らぬ人となってしまったのです。
ゾンリョンの生涯の教訓は、努力・勤勉さがすべてではないということです。
懸命に働くのも良いが、人間の体には限界があります。
仕事を完璧にこなしたい気持ちは誰にでもあるが、予算と締切にも限界があります。
だからこそ、働くときには要領の良さが必要です。
「最小の努力で最大の結果を出す方法はないか?」と自分に問いかけなければいけません。
『ドラゴンボール』で有名な漫画家・鳥山明さんは、誰もが認める「漫画の神」ですが、彼は努力だけで現在の評価を得たわけではありません。
鳥山さんはいつも仕事を簡単に終える方法を考える習慣を持っていました。
『ドラゴンボール』はたいてい地球侵略にやってきた異星人たちが、核兵器以上の強力なエネルギーで、都市という都市を破壊してから主人公たちと戦闘をはじめるが、それは鳥山が建物などを描くのが面倒だからなのです。
未来都市の細部にこだわって描写していては手間がかかって仕方がありません。
都市が完膚なきまでに破壊されていれば廃墟を登場させれば良いし、異星人たちの残忍性とパワーを読者に印象付けられることもできて一石二鳥なのです。
そして主人公の孫悟空などが「超サイヤ人」になると、髪が一瞬で白くなるが、これも髪に色を塗るのが面倒だからなのです。
漫画家の労働量を減らし、なおかつ主人公の変身とパワーアップを効果的に描ける工夫です。
孫悟空たちは異星人に敵わないと、「精神と時の部屋」という異空間に入って修行を行います。
設定によると、ここは一切の物体がない他の次元の空間です。
つまり背景を描く必要がないのです。
彼はある意味、誰よりも努力してきた漫画家です。
「週刊誌連載」という殺人的なスケジュールに対応するために、生産性を高めるための努力をしてきたのです。
努力と勤勉がすべてではない。
何をするにしろ「これをもっと簡単に済ませる賢いやり方はないか?」と考える習慣を持っていれば、最小の努力で最大の結果を出せるはずです。
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