天才と呼ばれる人々のなかには、優れた記憶力を持つ人が多いです。
天才科学者フォン・ノイマンもずば抜けた記憶力で有名だったし、GE(ゼネラル・エレクトリック)元CEOジャック・ウェルチも会社の実績や財務データをすべて頭に入れていました。
タイム社と合併する前のワーナー・コミュニケーションズの創立者スティーブ・ロスは「いくら複雑な取引でも頭の中で計算してしまう能力」で有名でした。
また幸いなことに、記憶力は先天的な才能がすべてではなく、後天的に開発が可能だということも研究で証明されています。
ここでは記憶術のテクニックを研究している天才の習慣を紹介します。
エラン・カッツは、イスラエル出身の著述家です。
彼は500個の数字を一度聞いただけですべて記憶できるなど、その分野でギネスの世界記録を持っています。
記憶力についての講演を多く開いているが、カッツはその場で聴衆に数字や単語を好きなだけ言わせて、それを正確に思い出してすらすらとホワイトボードに書いてみせます。
それだけではなく、逆の順番で書き出す離れ業も披露し、会場を沸かせています。
単語や数字の羅列を記憶することが難しいのは、それ自体に意味がないからだが、ユダヤ人のカッツは、ユダヤ伝統の記憶法を含め、いろいろなテクニックで克服しました。
彼は数字を記憶するときには、数字を文字に変えて記憶する「ギマトリア」という手法を使います。
たとえば「47」を「侍(赤穂四十七士から)」、59を「孫悟空(その発音から)」と覚えれば、4759という文字列からは、侍の集団が孫悟空を追いかける場面を連想できます。
これは電話番号などを覚えるときに有効です。
また、初めて出会った人の顔を記憶するときには、相手がいろいろなシチュエーション――たとえば浜辺で休暇を過ごしている姿や、土砂降りに降られている姿、真夜中に出勤している姿――を想像する方法が効果的だといいます。
久しぶりに会った知人の顔を見て「この人、誰だったっけ……?」と考え込んでしまうのは、無意識に知人のことを、知り合い、交流した状況と結びつけて記憶してしまっているからです。
この方法を使えば、意外なときや場所で再会したときも思い出せるようになるといいます。
またカッツは、これらのテクニックの前に、記憶力を発達させるために何より重要なことは「記憶しようとする意志」だといいます。
意志があればテクニックを使う気になるし、集中力も高くなるのです。
現代はスマートフォンなどのデジタルデバイスが発達しているから、知識は記憶力に頼らずともインターネットから引いてくれば良いという主張もあります。
だが、インターネット上に重要な情報があっても、それを記憶できなければ活用することはできません。
たとえば、「面接試験で絶対にアピールに成功するテクニック!」と題した情報をインターネットで目にしたところで、面接試験会場でそれが思い出せなければ、面接官の前で読むわけにもいかないから、活用する機会はないのです。
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